助け合うこと

お山に登る昼食前の時間の一コマ。

その日は子ども達5人で一列になり、先頭と一番後ろに大人が一人ずつ付いて一緒に登っていた。一番後ろには女の子が一人、お山に登るのに苦労していて一生懸命、止まりながら少しずつ少しずつ進んでいた。大きめの上り坂に差し掛かった時にその女の子は疲れてしまったのか座り込んで、声を掛けても前に進まなくなった。先に登っていたお兄ちゃんお姉ちゃんのお友達が心配して「大丈夫?」と上り坂の上の方から声を掛けて心配してくれたりもう一人のお友達は、一回登ったお山を降って女の子の近くまで来て名前を呼んでくれたりしていた。

その応援を受けた女の子が、すっと立ち始めて、自分で一歩ずつ登り始めて、「〇〇ちゃん、待って〜!」と友達の名前を呼んでゆっくりと進み始めた。

その姿を見た時に、自分一人では出来ないことも、お友達が応援してくれたり困った時に側で人が寄り添ってくれた時に自分の中から力が湧いて来て、前に進もう、頑張ろう、と一人の時以上の力が発揮されて前身させるパワーはとても凄いと思ったし、改めて人が助け合う力の強さを目の前で感じて感動した。そして助けによって自分の中のもう無理だ、登りたくない、という気持ちを越えさせてくれる力が引き出されるんだなぁと思った。様々な年齢がいるからこそお兄ちゃんお姉ちゃんは困っているお友達がいたら助けようとするし、助けることによって、自分は人の役に立てる存在なんだと自分自身の存在を尊重する力や、自分に自信を持つ体験に繋がると思ったし、逆に助けられる体験は、自分が困った時には助けてくれる存在がいる、という、その場所への安心、また、その場所にいる人達への信頼も覚えて行くと思った。

それは後に自分が生きていく社会、世界に対して、自分が困った時には助けて!と言えば誰かが助けてくれる体験が出来るんだ、という、社会への無意識の安心にも繋がると思ったし、人と助け合うこと、支え合うことで互いの心を育み合っていること、そして、自分を越えた力を発揮出来る力があることを、頭で考えなくても感覚で知る小さなきっかけになるんだろうなぁと思った。

今置かれている場所への安心があってこそ、そこを土台に人は本当の自分の本領を発揮出来ると思うのでこうした日常のほんの小さな一コマの中に子ども達が自分が生きている世界への安心、信頼を培っていく体験を見つけられ喜べる自分でありたいと思ったし、そのためには小さなこと、一つひとつ、じっくりと見て子ども達と一緒に育んでいきたいと思った。

それはかえるえんが、“自然いっぱいの中で自分の感じるままに、好きな様に、自分を表現できる場所”ということを大切にしているからこそ、それに沿った時間が自然と流れ、おのずと子ども達はその場所にありのままの自分を解放し、受け入れられ、安心信頼を場に感じ更に開放していくと思った。

そんなかえる園だからこそ、私自身もその姿、ペースをじっくり確認し、尊重しながら関わりが持てていることを感じ、一人ひとり小さなことにゆっくり寄り添う、が、出来る環境っていいなぁ感謝した。

子供が素っ裸の心の状態を出せる環境があり、そこで様々な年齢が交わり合う体験って、幼少期の情緒を育む上で本当に大切なことだよなぁと思った1日でした。

スタッフ 祥子

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